Glare2
□コトダマ
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「遡…。」
『冬月、私の死を悔やまないでおくれ。』
「無理ですわ。そんなこと出来るはず無い…!」
愛しい。
だからこそぽろり涙が出る。
冬月は冷たくなった恋人の遡を抱き締めた。
夏を司るのに、いつもは温かいのに、今は冷たい。
その現実が信じられなくて、信じたくなくて冬月はより遡を抱き締める力を強くした。
『貴女は綺麗に笑いますね。』
「さ、く…っ!」
『貴女は優しい。その無償の優しさを他の人にも与えてあげて下さい。』
「いいえ‥わた、くしは優しくなどない…。」
『私は、いつも貴女に沢山のことを教わります。』
「沢山のことを教えてくれたのは、貴方ですわ‥。」
遡、何故私を置いて逝ってしまったのですか。
貴方のいない世界はこんなにも色のない哀しいものなのに。
そんな空間に私を置いて逝くなんて酷すぎますわ。
そっと生気のない唇に口づける。
またぽろり、涙が出た。