Glare2

□落涙ソルジャー
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「そう言うのであれば剣を抜こう。…しかしお前は何のために剣を振るう?」

「なっ…!」

「復讐者と言う名の憎しみに操られたピエロになるのはやめろ。死を早めるだけだ。」

「私を憎しみに駆り立てたのは誰だ…!何故ライを殺した!?戦意はもうなかったはずだ!!」

「…。」

「ライが敵だからか!?国が殺せと言ったからか!?」



敵だからと言っても嘘にはならない。
しかし弌は思うのだ。
命請いをしてまで生き長らえ、祖国で逃げ帰った臆病者と一生言われるよりもここで誇りを胸に戦死した方がいいのではないかと。
しかしその思いは女兵士には届かなかった。
愛するものを失ったのだ、仇の心情などしりたくもないだろう。
最早この者に何を言っても通じない。
弌は小さく息を吐くと剣を抜いた。



「国のためだ。この戦争を終わらせる。」


勝負は一瞬だった。
胸を一突き、あまりの速さに女兵士は驚きの表情を浮かべ、そのまま地面へと崩れた。
崩れ落ちた女兵士の口許は自らの血で赤く、まるで紅をひいたようだった。
二つの屍を見つめ、弌は呟く。



「お前達の命は決して無駄にはしない。…必ず、平和を築いてみせる。」



敬礼。
ふいに頬に冷たいものが伝い、地面へ落ちた。
雨が降って来たのだろうか、空はこんなにも晴れていると言うのに。








死に逝く者へ何を送ろう
一滴の涙か、平和への願いか





END.
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