Glare2
□落涙ソルジャー
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「い、のちだけは…!!」
「…。」
目の前には敵国の兵士。
弌は自分の剣を首にあてられ命請いをする兵士を無感情な瞳で見下ろしていた。
しかし弌の目が細められた刹那、兵士の首は宙を舞った。
痛みに苦しむ表情も見受けられない。
痛みも感じず、一瞬のうちに逝ったのだろう。
返り血を浴びながら弌は思った。
「ライ!!」
悲痛な叫び声。
戦場に不釣り合いな女の声に眉をひそめる。
今の声はいったい、弌は警戒しながらも声の主を探した。
「…。」
視界に入ったのは先程斬った兵士…ライと言っただろうか、ライの首を抱え涙する女兵士だった。
見た感じからして姿形はライと同世代だろう。
恋仲であることなどすぐにわかった。
弌は自分を睨み付ける女兵士を見下ろした。
「…剣を抜け。」
「…。」
「剣を抜け!お前なんか…殺してやる!!」
ライを返して。
さしずめそんなことを心中では叫んでいるのだろう。
愛するものを失うのは辛い、しかしその思いをかき消して弌は問掛けた。