Glare2

□つよい
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「セリ。」



ふわり、体があったかくなった。
抱き締められたんだってすぐに分かった。
ゼロ兄ってこんなにあったかかったんだ、なんて思っていたら上から声が降って来た。



「セリ、お前はお前が思っているほど弱くねぇよ。」

「…。」

「"無知"の痛みは辛いはずだ。でもお前はそれを投げ出してねぇだろ?」



だからお前は強い、心配すんな。
ゼロ兄はそう言うと立ち上がった。
どこへ行くのと聞いて返ってきた返事は帰るの一言。



「帰って飛沫の飯食うんだよ。早くしねぇとお前の分も食っちまうぞ?」

「や、だ…!!」

「じゃ、走って帰ろうぜ。お前走んの速いだろ。」



言い終わるよりもゼロ兄は走り出した。
僕もそのあとを追い掛ける。
今日ゼロ兄と話したことを、僕は弱くないってことを飛沫姉にも教えてあげよう。
飛沫姉はなんて言ってくれるかな。
そんなことを考えながら僕は前を走るゼロ兄の背中を眺めた。





君は弱くない
その一言で僕は強くなる





END.
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