Glare2

□つよい
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僕の名前はセリ。
本当の名前は知らない。
この名前は僕を拾ってくれた飛沫姉が付けてくれたもの。
セリは本当の名前じゃないけど、とても馴染みやすいものだった。



「おいセリ。」

「…ゼロ兄?」



土手に座っていた僕は後ろから声をかけられる。
僕が名前を呼ぶと、ゼロ兄は何も言わず隣に座った。
ゼロ兄は違う世界から来たんだって。
もしも僕が同じ境遇だったらゼロ兄みたいに生きれるかな。



「…ねぇ、ゼロ兄?」

「あ?…珍しいな、お前から話しかけてくるなんて。」

「む、何その言い方…。」

「ははっ、悪い悪い。…で、なんなんだ?」



頬を膨らます僕の頭をゼロ兄は笑ながら撫でた。
その時ほんの少しだけど優しい匂いがして飛沫姉みたいだなって思ったけど言わなかった。
だって、女の子みたいって言われたらゼロ兄怒るかもしれないじゃない。



「…あのね、ゼロ兄は強いな…て思ったの。」

「強い?俺が?」



あ…ゼロ兄凄いびっくりしてる。
でも、僕は本当にそう思ったんだよ。
ゼロ兄は強いって。



「ゼロ兄、笑えてるから…。違うせ、かいに来たのにゼロ兄…笑顔だ、から。」

「セリ…。」



僕は弱い。
記憶はないから自分の本当の名前も親の顔も知らない。
そんな現実に僕は涙を流すことしか出来ない。
ゼロ兄はこの世界のことはなにも知らない。
なのに笑って前へ進もうとしてる。
ああ駄目だ、また涙が…。




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