Glare2
□霞んだ視界の先の人
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「いたた…。」
頭をさすりながら目を開く。
それとともに飛び込んできた光景に現役女子高生、姫宮那月は驚きの声を上げた。
「ど、どこよここ…!?」
辺り一面に草原が広がる。
先ほどまで広がっていた高層ビル群も道路も無い。
今まで那月が『普通』だと思っていた物が何一つとしてないのだ。
一体何故、何が起こった。
那月は必死に今までの経緯を脳内で探った。
「えっと…確かジュンちゃん達とわかれて一人で歩いてたら男の子が車に轢かれそうで…あ!!」
そうだ思いだした。
車に轢かれそうだった少年を突き飛ばしたんだ。
その後強い衝撃を受けたのは覚えている。
しかしそれからこの場所に来るまでのことが全く記憶にない。
「跳ねられた衝撃で違う世界に来ちゃったとか!」
いつも友達に笑われていたロマンチックな考えをはじき出してみたものの、今この場では冗談に聞こ
えなかった。
寧ろ、那月を焦らせる種にしかならなかった。
広大な草原に一人で佇む、寂しくて不安で仕方がなかった。
「どうしよう…。」
お母さん、お父さん、将太にジュンちゃんにりっちゃんにたなちゃん。
何処にいるの、会いたいよ。
馬鹿だねって頭撫でてよ、一人はやだよ…。