Glare2

□幸せが壊れた日
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「リ、イーシャ…。」



丘の頂上に足を踏み入れた途端、シドは絶句した。
白い花々が咲き誇る中にある真っ赤な花。
その中心には横たわる愛する妻の姿があった。



「リーイーシャ!!」



血だらけな妻を抱き寄せる。
触れた時に感じた彼女は冷たくて、シドは涙を溢した。



「どうして!?リーイーシャは妖狐じゃないのに!」



ちゃんと調べれば彼女が妖狐ではないことなどわかったはずだ。
どうして調べなかった、どうして殺した。
沸々と憎しみが湧き出てくる。
それはリーイーシャを失った哀しみと混じり、より一層大きな闇と化した。



「返せよ…僕のリーイーシャを返してくれよ!!」



今までずっと孤独だった彼女の心を、これから癒していくつもりだった。
彼女との間に産まれるはずだった子を愛していくつもりだった。
なのに全てを奪われた。
軍が、人間が憎くてたまらない。
冷たくなった妻に口付けるとシドはズタズタに裂かれた妻の腹部へと手をやった。



「こんなにズタズタになって…痛かっただろう。」



外気に触れ、固まりかけた血液はドロリとしている。
冷たい肌とは反対に血液はほんの僅だが暖かさを感じる。
生臭さも今のシドには気にならなかった。
無表情で涙を流し、リーイーシャの胎内で生き絶えた我が子を見つめていた。




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