Glare2
□哀しみに口付けを
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私達が恋に落ちたと知った村人は、口々にこの女は止めておけとシドに言いました。
しかし、彼はいつもきっぱりと言い放ってくれていました。
『貴殿方はリーイーシャを理解する努力をしましたか?努力もせず、彼女の瞳の色だけを見て言葉をつむぐのはやめて頂きたい。』
『リーイーシャが貴殿方に何かしましたか?生まれ持ってのものを否定して何になると言うのです?』
『彼女は貴殿方の嫌う妖狐ではありません、人間です。』
その言葉を聞くたび、嬉しさが込み上げました。
そして、より一層シドを愛しく感じるようになりました。
そして、それから暫く経たないうちに私は彼の子供を身篭りました。
『本当かい?今君のお腹の中には僕達の子供がいるんだね?』
初めは不安で仕方がありませんでした。
でも、このことをシドに告げると彼はとても喜んでくれました。
シドったら女の子だったらルシエラって付けたいって言うんです。
輝く命、の意味だそうです。
気が早いわ、と言ったら彼は笑っていました。
それから、彼は少し真顔になってから言いました。
『子供が生まれる前に…リーイーシャ、僕と結婚してくれないか?』
『え…。』
『僕は、君が好きなんだ。』
『シ、ド…。』
これ以上の幸せはないだろう、そう思いました。
もちろん私の返事は決まっていて、返事を受けとるとシドは何処からか指輪を取り出し私の指にはめました。
銀色の綺麗なそれはきらきらと光り、愛しさを釀し出していました。
『二人…いや、三人で幸せになろうね。』
愛の言葉と共に降って来た口付け。
私は腕を彼の首に回しながら思いました。
嗚呼、世界は永遠だと。