Glare2

□哀しみに口付けを
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西国の南西部にある三方を大きな山々に囲まれた海に面した村、アローネットに生まれた私はリーイーシャと名付けられました。
リーイーシャはアローネットの言葉で風に愛される子、と言う意味を持つらしいです。
…でも、愛される子と言う名前を持っていても私は目の色が妖狐の紅い目に似ていると言われ村人から嫌われていました。



『リーイーシャの狐っ子ー!』

『狐っ子が同じ村にいるだけで吐気がするわ。』



狐っ子。
この言葉を何度言われたかわかりません。
子供、老人、女、男。
村にいたほとんどの人から言われました。
私は妖狐じゃない。
何度言ってもその声は村人には届きませんでした。
存在を否定される日々、私は孤独でした。
あの人と出会うまでは。



『初めまして、僕はシド・グルーアム。よろしくね、リーイーシャ。』



シド・グルーアム、西国に属する科学者です。
アローネットには休養に来ていたそうなのですが、そんな彼が私の人生を変えてくれました。
終わりのないかのように思えた私の苦しみを彼は理解してくれたんです。



『君が狐っ子?狐っ子だってこんなに綺麗な目は持ってないだろうね。』



その言葉を聞いて、私は優しい気持ちになれました。
理解もされずにただ嫌煙されるだけだった私をシドは言葉一つで癒してくれたんです。
恋に落ちるのも時間の問題でした。




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