Glare2

□失ったものとありがとう
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「…ぁ…。」



目覚めた時小虎がいたのは病室のベッドの上だった。
半分になった視界で辺りを見回す。
勇に俊、宗一郎に韋助に弌の姿があった。
今だ覚醒しきらない頭で小虎は尋ねた。



「戦争は…。」

「そんなことよりも自分の体を案じろ。」

「…俊殿。」



開口そうそう戦争の心配をする小虎に俊は馬鹿野郎と言葉をもらす。
暴言も彼なりの喜びの表現であったことを小虎は知っていたが俊は小虎が気を悪くしたと思ったのか頭をかき、看護師を呼んで来ると言って病室から出て行ってしまった。
俊が出て行った後、静寂が辺りを包んだがしばらくしてから宗一郎と韋助、そして勇が申し訳なさそうな顔をして口を開いた。



「…小虎、目はまだ痛みますか?」

「すまねぇ、俺たちがもっと早く来てりゃこんな風には…」

「こうなったのは全て俺の責任だ…すまない。」

「…平気だって。」



左目はもう光を失った。
でも失う直前に見えたのだ、自分の名前を呼ぶ上司と同僚の姿が。
そして今は右目だけだが仲間たちが、世界が見えているのだ。
小虎にはそれだけで十分幸せだった。



「人間武器庫は片目ごときがなくなった程度じゃ廃らねぇよ。」

「小虎…。」

「問題児二人の世話係兼東軍が誇る暗殺部隊部隊長は俺にしか務まらねぇしな。」



茶化し、笑う。
本当は自分の身を案じてくれた彼等への感謝の念でいっぱいだった。

この仲間達と、まだ一緒に入れるのだと。
この仲間達と、まだ一緒に生きれるのだと。
神様などは信じるタチではないがこの時ばかりは言わずにはいられなかった。



「でも…神さんには礼を言わねぇとな。」













俺を生かしてくれてありがとう、と。
















無駄にはしない
片目と代償に掴んだ生を、絶対に





END.
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