Glare2

□失ったものとありがとう
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銃声、悲鳴、焦臭さに混じる血の臭い。
不快な気分になりながら小虎はライフルの狙いを定める。
一人、二人、三人。
弾は見事に心臓を貫き、抜け殻となった敵は力なく地面に伏した。



「敵軍防衛地点制圧。」



無感情に呟くと小虎はその場所を立ち去ろうとした。
その時背後から感じた凄まじい殺気。
小虎はとっさに背後にいるであろう人物と距離をおき、ナイフを取り出した。
目標物を確認しようと顔をあげると見覚えのある緑と黒の頭。



「お前たち…。」

「景気はどーだい、小虎クン?」

「此方も制圧したんですね、流石です。」



一番部隊長の沖田宗一郎と二番部隊長の辻堂韋助。
それぞれ別々の場所で戦っていたのだがすでに持ち場は制圧したらしい。
…それにしても先程の殺気は凄まじかった。
流石は部隊長と言ったところだろうか。



「戦場では緊張の糸を緩めちゃ駄目ですよー。」

「…わかってるよ。」

「はいはいすねないのー。」



ケラケラと笑いながら韋助は言った。
笑っているのに隙は見当たらない。
通常生活は見習えないが戦場ではお調子者の彼等を見習うことが度々あった。



「雛塚隊長!!」



話に一段落が付いた頃、戦場に不似合いなマフラーを翻しながら小虎の部下である小早川しずえがかけてきた。
滅多に慌てない彼女が息を切らしながらこちらへやって来たので、小虎は嫌な予感を感じつつも尋ねた。



「何かあったのか?」

「凛藤軍隊長が…っ!!」



本部への集中攻撃。
防衛地点の兵士の人数が少なかったのはそのせいだったのか。
小虎は軽く舌打ちをすると帽子を目深に被り、本部へと走り出した。




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