Glare2
□守りたいもの
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「…全く、緊張感の欠片もないな。」
「俺はいいと思いますよ。」
「弌さん…?」
「いつも神経研ぎ澄ましてたら疲れますよ。それに…」
信頼できる仲間だから無防備な自分を晒け出せるんですよ。
弌は笑いながら言った。
弌が他人に笑顔を見せるのは珍しい。
それも全ては、信頼できる仲間の前だからだろうか。
勇は心のなか、何か訴えられた気がした。
「…弌、俺たちの手で早くこんな馬鹿らしい戦争を終わらせよう。」
「…。」
「陛下も、国民も、俺たち軍人も戦争なんて望んでない。」
「勇さん…。」
「…ふふ、勿論ですよ。俺たちはどこまでも貴方に従います、凛藤さん。」
望むは戦争の終結。
出来ればお互いにこれ以上の血を流さずに終えたい。
さて、どうしたものか。
勇は顎に手を当て考え始めた。
「…俺は土方さんと三馬鹿のじゃれあいを間近で見てきますかね。」
呟くように言葉を溢すと、弌は小早川姉弟と新堂姉妹がやって来て一段と賑やかになった輪の中へと加わっていった。
残ったのは勇と琴音。
視線に気付いたのか勇は考え事を中断した。