Glare

□ロストダァリン
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12月28日。
今日は朝早くに愛しの旦那様が雪グマ退治に向かった。
雪グマは狂暴で有名だからもし何かあったら…って考えると不安で仕方がない。
でも、あの人は村で一番強い。
だから…きっと大丈夫よね。
今日は沢山のあの人の大好物を作って帰りを待つの。



12月29日。
…結局、昨日リュージュは帰ってこなかった。
沈んだ気持ちで暖炉にくべる木を取りに行ったら嫌な話が耳に入ってきた。
西の森の方で雪崩が起きた。
…リュージュが行ったのも西の森、そう思うと怖くて仕方がなかった。
神様、お願いします。
私からあの人を奪わないで。



12月30日。
恐れていたことが起こった。
リュージュが帰ってきたの。
…リュージュの“抜け殻”だけが。
顔には雪グマと戦った時についたのか大きな横一文字の切り傷があった。
凄く痛々しかった…でも目立った外傷はそれだけで、ひょっとしたら生きてるんじゃないかって思った。
だから、そっとリュージュの頬に触れたんだけど…触れた頬は哀しいくらい冷たかった。
触れると共にその冷たさは私に残酷な現実を理解させた。
私の愛しい旦那様はもう、この世にいないと。
もう、あの心地よい低い声を聞くことも、子供のような屈託のない笑顔を見ることも、暖かくて大きな彼に抱き締めてもらうことも出来ない。
…私、どうすればいいのかなぁ。




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