Glare
□ロンリィハニィ
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長い長い夢を見ていた気分だ。
ゆっくり、リュージュはその瞳に世界を写した。
アンティーク調の落ち着いた色をした床、その床を柔らかな光でランプが照らしている。
幻想的な風景。
「ようこそ、あの世へ。」
澄んだ低音が響く。
目線を上にずらせば橙色の髪を持つ優しそうな青年の姿が。
ようこそあの世へ。
青年の言葉を聞いてリュージュは顔をしかめた。
「…あの世?」
「そう、あの世。君はね、想死を…強い想いを残して死んだんだよ。」
「死、んだ…?俺、死んだのか?」
「そうだけど…覚えてないのかい?」
「何を?」
橙色の髪の青年は目を丸くした。
そしてごめんねと一言言うと直ぐ様リュージュの額に手を置き瞳を閉じた。
『グガァァァア!!』
『このクマ…!男前が台無しになったらどうしてくれるんだよっ!!』
『ドォォォォォ!!』
『ち、くしょ…。』
『ご、めんな…ハニィ。』
「成程…。」
谷底に落ちた時に頭を打ち、その時のショックで記憶をなくしたのか。
橙色の髪の青年は少し考えてから話し始めた。
「…君は大切な人を守って死に、そして死神になったんだよ。」
「…。」
「死神になると自然と18歳の時の姿になる。その代償に自分の生前の名前は忘れてしまうんだ。だから君は…リャオと名乗るといい。」
「…リャオ。」
「そう、リャオ。…あ、言い忘れてたけど俺は死神長のリッカ。よろしくね、リャオ。」
諱に近いのはおまけだよ。
そんなことを思いながら橙色の髪の青年、リッカは柔らかく微笑んだ。