Glare
□ラヴハニィ
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「ラファー!!」
女の名前を呼ぶ大きな青年の声がグレアの最北端にある極寒の地、コルディア村に響く。
その声はどこか嬉しそうで、青年の声を耳にした人々は穏やかな目で名前を呼ばれた村娘の方を見やった。
「リュ、リュージュってばそんなに叫ばなくても聞こえてるよ。」
少し顔を赤くしながら小走りでやって来る村娘、ラファ。
手には薪を持っている。
どうやら作業を中断してきたらしい。
リュージュと呼ばれた青年はラファの姿を見るとまたにっこり、優しく笑った。
「ただいま、ハニィ♪」
「ハ、ハニィって…!」
「ハニィはハニィだろ?」
「もう…おかえりなさい、リュージュ。」
いちゃいちゃ、そんな言葉を当てはめるのが一番だろうか。
リュージュとラファは村一番のおしどり夫婦だ。
仕事熱心で周りからの信頼も厚い兄貴肌のリュージュに、旦那想いで子ども好きな気立てがよくて優しいラファ。
そんな二人は村人の中で憧れの夫婦だった。
「あ、そうだラファ。」
「なあに、リュージュ?」
「ちょっと目瞑ってみてくれねぇかな。」
「え、うん。」
リュージュの言葉に疑問を抱きつつもラファは瞳を閉じる。
長い睫は雪国特有の淡い太陽の光を浴びてほんのり光っている。
リュージュは左手でラファの頬に触れながらそっと右手に隠し持っていた物を薄い桜色の髪に飾る。
その時、いきなり頬に触れたことに驚いたのかぴくりと反応を示したラファに、リュージュはくすりと笑みを溢した。