Glare
□少女は偽りを纏って
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何十年、何百年前のことか。
もうそんなこと忘れたけど記憶の片隅に確かに残っていた。
「ユキ…。」
ぽつり、空っぽの心のなかで思う。
しかしいくら感傷に浸ってもユキは帰ってこない。
何故なら、ユキはもうこの世にはいないのだから。
「はは、馬鹿みてぇだ。」
自嘲。
死を迎えることなく生き続ける自分に対して。
もとからゼロは死なない体だったのではない。
異世界トリップ。
夢のような事だがそれで突然この幻想世界グレアに飛ばされ来て、望まぬ不死の体を得たのだ。
「…結構辛いもんだよな、終わりがないってのは。」
目的もなくただ生きるだけの日々。
正直言うと苦しかった。
それでも、必死にユキとの日和国での思い出を糧に生き続けた。
「…さ迷ってれば、いつかはユキの生まれ変わりに会えるのかな。」
時之輪。
このセカイにはそう呼ばれる輪廻がある。
いくつもの世界をまとめているのがセカイであり、そのセカイの中にある魂の輪廻転生を司るのが時之輪。
もしこれが本当に存在するのならばユキはこの世界にも転生してくるかもしれない。
そう思った。