Glare
□■第三話■
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『勇さんが…斬首…。』
『中々お伝えすることが出来ずにいて…申し訳ございませんでした。』
全てが和で構成された場所。
そこでは男女が静かに話をしていた。
『近藤局長がお亡くなりになり、さぞかしお辛いことでしょう。』
声が出ず、また、怪しまれもしない。
勇が導き出した答えは自分と言う存在がここには無いのだろうと言うことだった。
その考えが浮かんだのとほぼ同じ時、黙っていた女はぽつりと呟いた。
『…辛い?』
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あの女の顔…。
勇は驚いた。
なぜならその女は今まで下を向いていてわからなかったが、勇の愛する琴音にそっくりだったからだった。
『主人が死んで辛くないと言う輩がどこにるのです?』
『勇さんが亡くなっても、私は勇さん…近藤勇の妻、近藤つねです。』
『他の人がなんと言おうと構いません。勇さんは…己の誠を貫いたあの方は私の誇りです。』
嗚呼。
強い意思を持った目を、勇は美しいと感じた。
そしてこの世界がよく夢に見るバクマツと言う近藤勇の生きた時代なのだと静かに悟った。
しかし…それとともに思う。
なんて理不尽な話なのだろうか。
国を守るために戦ったのに結果は斬首。
誇り高き男はきっと、帰りを待つ妻に会えず罪人として散って逝ったのだろう。