Glare
□第二話
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「…影人さん。」
ふいに、さっきまで黙っていた煉牙が口を開いた。
恐る恐る、そんな言葉を当てはめるのが正しいのだろうか。
「月神は…龍を宿してるから滅ぼされたのかな。」
「…。」
「龍使いだって、術師だって…生きてることには変わりねぇのに。」
ぽつり、紡がれる言葉が切なくて影人は思わず出かかった言葉を飲み込んだ。
月神は龍使い、風祭は術師。
…供に、人間が持つことのない力を持っている。
故に彼等は人間に恐れられていた。
月神を滅ぼしたのが人間だとはまだ確定していない。
しかし、幾度も人間は二つの一族を襲った。
疑うには十分な事実があった。
彼等は襲われる度、人の踏み込むことのない土地へと逃げていった。
ここなら大丈夫、この事件は互いにそう思った矢先に起こった。
「緋影さん…。」
緋影は影人と仲がよかった。
影人に連れられ月神の里にも何回か行っていた。
そのこともあってか、煉牙は緋影を慕っていた。