Glare

□第二話
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「な、んだって…?」

「族長殿はお亡くなりに…。妹君の生死はまだわかっておりません。」

「…っ。」



時雨。
煉牙は強く想った。
時雨が族長の妹だと言うこともある。
しかし何より、煉牙は時雨を愛していた。



「…わかった。修、月神の里を滅ぼした奴を探してくれ。」

「…わかりました。」

「…。」



痛い、ではない。
哀しいのだ。
愛する人の安否がわからないなど、哀しくて不安で仕方がないだろう。
影人は修へ命令するとちらりと煉牙を見た。



「…。」

「…煉牙、時雨ちゃんはきっと無事さ。」



修がいなくなり再び二人きりになった時、影人はうつ向く煉牙に言った。
確信はない。
これはただの影人の望みであった。



「四龍がついてんだ。大丈夫だよ、煉牙…。」



この言葉は煉牙へと向けたものなのか、自分自身へ向けていた言葉なのか。
影人は自分で言いつつもわからなくなっていた。




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