Glare

□サヨナラを飲み込んで
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嗚呼、私の役目は終わった。
…そんなことを言ったら時雨様は怒ると思うけどね。

約18年間、かしら。
私はこの時間を悔やんだりはしていないわ。
決して長いと言えるものではないけど、私にとってはかけがえのないものだった。

愛とは無縁だと思っていた私の人生に、愛を与えてくれた緋影様。
私を慕ってくれた大切な愛弟子、時雨様。
そして、優しくて暖かい月神の民…。
彼等がいたからこそ、幸せだった。
大切で、大切で…手放したくなんてなかった。
今となってはもう、ただのわがままでしかないけどね。



『……閃…』



…緋影様、やっぱり寂しいです。
当たり前のように側にあった貴方と言う存在が今はないから。
太陽を愛するひまわりの様に私の存在は貴方なしでは駄目なの。
…こんなこと言ったらきっと貴方は困ったように笑うでしょう。



『大丈夫だよ。』



苦笑しながらもそう言い、私を抱き締めてくれるでしょう。
そのまま優しく口付けて、笑い合って…。
…でも、貴方は側にいないの。
周りにあるのは暖かで静かな闇だけ。




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