Glare
□一話
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「…っ!!」
時雨は息を飲んだ。
何かが焦げた臭いと生々しい血の臭い。
草木が生えていた面影のない赤黒い地面。
そこに横たわる息絶えた人々。
まだ幼さ残る時雨にさえ、事の重大さが分かる程悲惨な光景だった。
「これは…。」
酷い。
先程までの平穏が嘘のようだった。
辺りを見回した後、時雨は走りだした。
「兄様を探さなきゃっ…!」
緋影には朝から会っていない。
その時は仕事が忙しいのだろうと思い時雨は探そうと思わなかった。
そして森から出てきてみればこの有り様…。
いきなりの惨事に頭がついていかなかった。