Glare

□一話
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「琴音!」

「あ…勇さん。」



おはようございます。
琴音こと山崎琴音は勇の姿を見て優しい笑みを溢した。



「すまない…待たせてしまったか?」

「いいえ。…こっちこそごめんなさい。折角のお休みなのに…。」

「いや、構わない。…どこへ行こうか?」



琴音の肩に手を置き勇は優しく尋ねる。
勇の無器用さとでも言おうか。
少々ぎこちなさを感じさせるそれが琴音は大好きだった。



「勇さんと一緒なら私はどこでもいいですよ。」



…嗚呼、この感じ。
懐かしいような暖かい様な気持ち。
いつだろうか、琴音に出会う前から知っていた気がする。
ずっと、ずっと昔から。
有り得ないことだとはわかっているのにそんな気がしてたまらなかった。



「…勇さん?」

「……あ、ああすまない。じゃあ、町にでも行くか。琴音に似合いそうな簪を見付けたんだ。」

「…!」



途端に琴音の頬には赤みがさす。
そんな反応に愛しさを感じながら勇は琴音の手を引き町へ向かった。
まだ、思い出さなくて良いかもしれない記憶を抱えながら。





古い記憶が甦るのは、案外簡単なことかもしれない





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