Glare

□五話
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「…なぃ。」



うつ向き、表情のない茜はぽつりと言う。
辺りは急に温度が下がり、肌寒さを感じさせた。



「許さない…!!」



吹き荒れた風。
突如起こったそれは茜を容易に包みこんだ。
再び視界が回復した時には茜の姿はなく、金色の毛の狐の姿があった。



「茜…!」

「よくも…許さないぞ!!」



あの無邪気な雰囲気はどこへ行ったのか。
紅い目は憎しみに満ちていた。
茜の姿を見て、部下は身の危険を感じ逃げ出した。
しかし、茜がそれを許すはずがなく逃げ出したものは茜の放った炎…狐火で次々と命を失った。



「やめて…やめて茜!!」



愛する人が憎しみにかられる姿はもうみたくない。
瞳から涙を溢れさせながら伊織は妖狐の姿の茜に近付いていった。



「くそ…作戦変更だ!」



苛立った主の声。
主は即座に懐から銃を取り出すと茜に近付こうとする伊織目掛けて引金を引いた。










パン











「せ、ん…?」



哀しい音が響きわたり、伊織は紅い華を咲かせながら静かに冷たい床に倒れた。
茜に触れるまで、あと数歩のところで。









君の咲かせた紅い華
哀しい色をしたそれを
僕は一瞬でも美しいと思ったんだ

ごめんね
君だけは守りたかったのに




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