Glare
□五話
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「こいつは…俺のもんだ。」
部屋に入った途端に目についた欲に満ちた見にくい笑顔に黄泉は軽く顔を歪ませた。
「ヨミー…。」
右隣にいる茜、目の前の少女に男。
そして力のない茜の声で黄泉は全てを察した。
「…小僧の仲間か。そんなことはどうでもいい…」
男、主は冷たく笑いながら指をならす。
すると瞬時に鎧をまとった主の部下が現れた。
黒い鎧の間を見え隠れする白いもの。
主の部下の一人の手に握られ、揺れるのは毛は白いが確かに狐だった。
その時聞こえた、息を飲む音。
音のした方を向けば目を大きく見開いた茜の姿。
「か…あさま?」
「ほぅ。この化け狐は小僧の母親か。」
「なんで…!!」
「妖狐が嫌いだからさ。こいつも仲間の死体を囮にしたらひょこひょこやって来たぞ。全く馬鹿な奴だ。」
「伊織なんていなくてもおびき寄せることは出来たんだよ。」
「伊織はどうしても小僧を助けたかったみたいだがなぁ。」