Glare3

□もうどうにでもなれ
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「嘘だろぉぉぉぉ!?」



連れ去られて初めての朝。
清々しいはずの朝は忌々しい烏天狗の叫び声によってぶち壊された。
まだ覚醒しきらない頭を必死に働かせてみれば悲痛な表情の佗々羅が視界に入る。
…視界に入るだけならまだしも、この男は小太郎に馬乗りになっていた。
不快な目覚めに小太郎は青筋が立ちそうになる。
嗚呼、この馬鹿ガラスめ。



「…佗々羅殿、おどき下され。」

「あ、あんた…男だったのか?」

「何を今更……ってぇ!?」



やれやれと溜め息を吐きながらなんとなく目線を下げた小太郎は目を丸くする。
上半身が裸なのだ。
おかしい、昨夜はちゃんと着ていたはず。
だとしたら…。
そう考えると小太郎は今だショックを受けている佗々羅をぎろりと睨んだ。



「…佗々羅殿、一体某に何をしようと?」

「何って…ナニだろ。」

「死んでしまえ。」



阿修羅のような表情で小太郎は言い放った。
途端、畳を突き破り樹の根が生えてきた。
小太郎は桜の樹の化身であるから樹木を操ることなど造作もない。
先が鋭くとがった根は佗々羅目がけて伸びてきた。



「うぉ!?」



どごんと言う効果音と共に根は畳へと突き刺さる、否、めり込む。
間一髪、頬をかするだけですんだ佗々羅はたらりと冷や汗を垂らした。
あと一秒反応が遅れていたら顔に風穴が出来ていただろう。
根を操る本人は本気で佗々羅を殺そうとしていたらしく、かすり傷ですんだ佗々羅を見てあからさまな舌打ちをした。


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