Glare2

□文化祭とレトロチカ
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「シィナくーん!!」

「シィ様ーっv」



学校の行事ってことで文化祭のライブは無料。
お財布に優しいそれに便乗して見に来るお客さんも少なくない。
広さの割に結構な人数が収容された部屋の室温は高く、俺は垂れてきた汗を拭うとベースを持ち直した。



「亮ちゃん!」

「…!」



微かに聞こえた聞き覚えのある幼い声。(っていうかライブ中に本名呼ぶ奴はあいつしかいない)
俺は目だけでその声の主を探した。



「…いた。」



思わず声に出してしまったが、独り言のように呟いたそれに隣で演奏していたかのとは気付かなかったみたいだ。
…まあ、そんなことどうでもいいんだが。
俺が見付けたのは小さなオトコノコ、甥のヒィロ。(俺は10歳の時から叔父さん)
俺と10離れてる姉貴の息子だ。(おふくろは23の時に姉貴を、33の時に俺を産んだんだ)
昔から亮ちゃん亮ちゃんってなついてるんで可愛くて仕方がない。
俺は握っていたピックをヒィロのいる近くに向かって投げると声に出さず口だけで言った。



「ヒィロ、しっかり受けとれよ。」



歓声の中、叔父からの小さな贈り物はちゃんと届いたのだろうか。







*****
どんなに子どもが苦手でも、やっぱり身内の子どもは可愛い。

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