Glare
□六話
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「…伊織?」
そろそろと狐の姿の茜は伊織に近付く。
返事はなく、伊織は荒い呼吸を繰り返すだけ。
嫌な予感が走った。
狐の姿から人間の姿に戻ると茜はうつ伏せに倒れていた伊織を仰向けに寝かせる。
その時に感じた、生暖かいぬるりとした感触に茜は言葉を失った。
「……!!」
おびただしい出血。
茜の手は直ぐに赤く染まった。
もう助からない。
誰が見ても分かる事実だった。
「…う、そ…」
「くく…戦意を喪失したか。」
チャキ。
嘲笑じみた笑みを浮かべると主は再び銃を構えた。
今度は、茜へ向けて。