Glare
□三話
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『逃げろっ化け物だぞぉっ!』
『妖狐に触ったら呪われるのよ!!』
『茜は妖狐だぞぉっ!!』
『ま、待ってよ…!』
子供達の恐れの言葉。
子供達は茜と呼ばれた少年が引き留めても構わず走っていった。
帰ってきてと叫んでも野原に小さく木霊するだけ。
哀しくて苦しくて、茜は震えながらうつ向いていた。
『僕は…僕は…』
『茜…?』
不意に投げ掛けられた言葉。
化け物と言われたばかりで、後ろを振り向くのが怖かった。
『茜、あたしよ?伊織よ。』
『……。』
『…茜、その耳と尻尾…』
『!!』
見られた。
伊織と少し距離を置き耳を、尻尾を隠して茜は小さくうずくまる。
小さなその体は、全てに恐怖した子供のようにがたがたと震えていた。
『茜…』
さくさくと枯れ葉を踏む音が聞こえる。
それと共に伊織が近付いてきていることが分かり、茜は拒絶の言葉を放った。