Glare
□一話
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「なんてことだ…。」
ざわざわと、明らかに驚きを隠せていない科学者達の声が研究所の中で響く。
少年は意味が分からないとでも言うかのように首を傾げ、また同じ質問を繰り返すのだ。
「お前達は何?」
金色の瞳は変わらず科学者達を見つめている。
それがどこか恐ろしくて、しかし目をそらすことが出来なかった。
そんな中、一人の科学者が言葉を漏らす。
「……化け物だ…」
恐怖という魅力を持った、悪魔だ。
顔を引きつらせながら叫ぶように言い放った科学者の声で周りも半ばパニック状態に陥った。
鼓膜が破けそうな騒がしさに顔をしかめながらも少年はまた問いかける。
「化け物って…?」
一歩、二歩と少しずつ科学者達に近付いていく。
少年が一歩進めば科学者達は一歩後退る。
いつまで絶っても変わることのない距離に痺れを切らした少年は僅かにいらだちを込めた声で言葉を紡いだ。
「なぁ、なんで逃げるん、だ……?」
少年の目が大きく見開かれた。
少年の目線の先には金属製の大きな実験器具、実験器具はまるで鏡のようにうっすらと少年の姿を写し出していた。
少年は写し出されたその姿に言葉をなくし、理解した。
顔の右半分が酷くただれ、赤黒い肉がむき出しになっている。
肉の中心には正常な左目と同じ金色の眼球が瞼もない剥き出しの状態でそこに存在していた。
「化け物と言うのは…俺なんだな…。」
「死ねェッ!!」
ぽつりと呟いた少年の言葉に答えるように鋭い銃声が響く。
科学者の撃った銃弾は少年の左頬をかすめた。
じわりと広がる血と痛みに少年は体の奥から何かがわき上がってくるのを感じた。