短編

□無意識にこの手は、
1ページ/1ページ





▽死ネタ注意





それは、突然ナニかが私の胸を貫く。
その「なにか」は、よく見慣れたもので、ボロボロな私は気づくのにワンテンポ遅かった。




「・・・・・・・・ラグネ、ル」


「・・・・・・・・・」


「・・・・ずっと、このチャンス、を待ってたの?」


「・・・・・・アンタが悪い」



喋る度に口からゴボッと血が出てくる。
多分、すぐに胸の怪我を止血して、誰かに杖かなにかしてもらえば助かる、だろうけど

残念なからそんな力は何処にもない。




「一国、の英雄がこんなこと、して良いのかしらね」


「・・・・・・・・・・・・」




ズッとアイクは静かに剣を抜いた。
それと同時に私の足もガクっとなり、地面についた。
最早、視界は何色かさえ原型を止めていない。



「お前が、欲しい」


「・・・・・・・・ア、イク」


「だけど、あんたは何も気づいちゃいない」


「・・・・・・ア、」


「だから、刺したまでだ」



顎をくいっとあげられる。
視界の中をかすかに蒼が横切る。

きっと、今の私の眼は虚ろだろうな

そんな客観的なことを考えながら、静かに彼の胸へと倒れこんだ。














識にこの手は、
(きっと貴方を掴んでいたことでしょう)















お題提供:確かに恋だった

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ