▽死ネタ注意
それは、突然ナニかが私の胸を貫く。
その「なにか」は、よく見慣れたもので、ボロボロな私は気づくのにワンテンポ遅かった。
「・・・・・・・・ラグネ、ル」
「・・・・・・・・・」
「・・・・ずっと、このチャンス、を待ってたの?」
「・・・・・・アンタが悪い」
喋る度に口からゴボッと血が出てくる。
多分、すぐに胸の怪我を止血して、誰かに杖かなにかしてもらえば助かる、だろうけど
残念なからそんな力は何処にもない。
「一国、の英雄がこんなこと、して良いのかしらね」
「・・・・・・・・・・・・」
ズッとアイクは静かに剣を抜いた。
それと同時に私の足もガクっとなり、地面についた。
最早、視界は何色かさえ原型を止めていない。
「お前が、欲しい」
「・・・・・・・・ア、イク」
「だけど、あんたは何も気づいちゃいない」
「・・・・・・ア、」
「だから、刺したまでだ」
顎をくいっとあげられる。
視界の中をかすかに蒼が横切る。
きっと、今の私の眼は虚ろだろうな
そんな客観的なことを考えながら、静かに彼の胸へと倒れこんだ。
無意識にこの手は、
(きっと貴方を掴んでいたことでしょう)
お題提供:確かに恋だった