捧げ物

□Trainer
1ページ/3ページ

最近、雲子の奴が俺のこと構わなくなった。
今まではどんな雑魚相手のでも練習試合になったらメールの十や二十。電話の三十や四十は当たり前だったのに。
…チクショウ、雲子が寂しいって言うまで絶対帰ってやらねえからな!!

それから三日後。

「………」

阿含の携帯に一通のメールがきた。
題名はアメフト部の連絡。
なのに、送り主は黒子かよ!!!
頭にきたので黒子に返信。漢字二文字で『死ね』。
……もう何でもいいから雲水からの連絡が欲しい。出来れば愛のある言葉が欲しい。

三十分もしない内に今度は電話がきた。
はあっ、黒子だったら殺そう。

「もしも〜し」
『阿含!お前、自分の数少ない友人に対して死ねとは何だ死ねとは!!』

五月蝿いを通り越して耳が痛い。否、耳の奥に響いて頭が痛い。
アメフトの会場全体に響く声で怒鳴るな馬鹿!
つか、数少ないは余計だ!俺にだって友人‥いや、世の中ほとんどカスばっかだからな。
答えを出そうと頭を捻ってると再度、携帯から雲水の怒鳴り声が聞こえた。

『聞いてるのか阿含!?♯』

んなでかい声じゃ聞きたくなくても聞こえるよ。

「あ〜聞いてる聞いてる。で、何なの?俺、今ちょ〜忙しいんだけど?」
『嘘をつけ!とりあえずさっさと帰って来い!帰らないなら絶縁だからな!!』
「え、雲水!?」

雲水からの絶縁宣言。
は?ちょっ、待てよ。
たった一週間帰らなかっただけじゃん?
黒子に死ねってメール送っただけじゃん?
……雲水との縁が切れる…。

阿含の顔から血の気が引いた。



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ