頂きモノ☆捧げモノ小説


□H23.クラ誕!!!
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クラピカ誕生日!!
((※拍手より


今思えば、私がいけなかったのかもしれない。
―――だって彼がどれだけ私のこと愛してるかなんて知らなかったから…

けれど後悔はしていない。
―――だって私は少なからず幸せだったから…

***

「「「クラピカ、誕生日おめでとー!!!」」」

クラッカーの音と、クラピカの目の前にはホールケーキ。彼の年齢を形どったロウソクと、もちろん中央にある板チョコには『誕生日おめでとう』の文字が白いペイントで施されている。

「…っ、ありがとう」

慣れていないのだろうか?クラピカの頬が少し赤い。
それを見たレオリオが茶化しに入る。

「何だナンダ?照れてやがるのか?」
「そ、そんなことは…っ!!!」
「はいはい解った解った。」

レオリオが適当にあしらった後、私はクラピカに誕生日プレゼントを渡した。緑色の小包を、やはり彼は照れ臭そうに受け取ってくれる。
それを見ていたゴンが、いつもの無邪気そうな顔で…

「ねぇ、2人はいつ結婚すんの?」
「「え”!?」」

これには赤面するほかない。
気付けばレオリオとキルアの視線までも集めてしまっていた。

「そうそう、早くくっついちまえよ!早くお前らの子供と会ってみてーなァ?」
「クラピカ奥手そうだかんなー…。でも言う(プロポーズ)時は言わなきゃオトコじゃねーぜ?」

どうにもこの話題になると恥ずかしくて…。私は冷蔵庫の中のワインを取りにキッチンへと向かう。「あ、逃げやがった」なんてキルアの言葉はこの際ムシだ。


ワインを持って皆の元へと帰ると、更に頬を赤らめたクラピカがレオリオとキルアに囲まれていた。…何を言われたのか、だいたい想像は付く。
それでも2人は待ってましたとばかりにワインを求めて来た。

「おっ!やっと来たぜ!」
「クラピカ、お前も呑むよな?」

キルアの問いかけに少々たじろぐクラピカ。「いや、私は…」と断りかけたクラピカに、キルアが何やら耳打ちした。

「…さっきの話、ここで言ってもいいんだぜ?」
「……ッ!!…、…………少しだけなら…」

私には解らなかった。首を傾げる私の前で、クラピカはグラスに注がれたワインを一口、クイッと呑む。
そういえば…。私は今まで、クラピカがお酒を呑んでいるのを見た事がない。一体どうなってしまうんだろう……
…なんて思ってると、クラピカの顔が下を向いたまま浮かんで来ない。

「クラピカ大丈夫?」

顔を覗き込んで見る。……が、反応がない。

「―――…クラピカー…?生きてるー?」

つんつん、と肩をつついてみる。と、クラピカの体が動いた。
ゆっくりと上がったクラピカの顔。酒のせいで頬が少し染まっていて、私を見る瞳には薄い涙の膜が張っている。

「えっ…!?クラピカまさか、一口でお酒に酔っ……っ、」

バンッ!、と机を叩き、クラピカが立ちあがる。私達はびっくりして動けなかった。
立ちあがったクラピカは、何故か私の方へと歩み寄って来て……、…

―――…ちゅっ、と唇を重ねた。


「…っえ!?急にどうし…っっえっ?えっ?クラピカ!?」
「イヤか?」
「いや、ヤじゃないんだけどっ…、えっ?」

私の頭の中は大パニック。明らかに顔赤くなってるだろうし、瞳はうるんでいるのが自分でも解る。
その後ろで、キルアはのんきに口笛なんて吹いている。

「お、お酒のせいでクラピカがこんなに変になっちゃうなんて思ってなかったっ」
「変…?オレがか……?」

クラピカの右手が、私の左頬を撫でた。心臓が言うことを聞いてくれない…

「ちょっ…!クラピカ酔ってるでしょっ!?」
「ああ、お前にな…。お前のせいだ。お前はいつもオレを無邪気な顔で弄ぶ……その度にオレがどんな思いでいるか…教えてやろうか?」

今度は髪を撫でた。そしてその手が私の後頭部にまで回ると、再び唇をゆっくり近付けてきて…

レオリオの手によって、ゴンとキルアが目隠しされた。2人はジタバタともがいているが、その音はクラピカ達には聞こえないようだ。

「クラピカっ!待って待って、待ってってば!!見てるっ!!みんな見てるからっ!」
「それがどうした?構わないだろう?オレがお前を愛していることは、周知の事実だ。」
「くらぴ、か……」

何故だろう?涙が出た。
クラピカは驚いた表情で、私を見る。

「どうした!?…やはり、イヤなのか…?」
「そうじゃない…。嬉しいの。クラピカ、いつも何も言わないから…っ『愛してる』も何も、付き合うキッカケになった最初の一回しか言ってくれなかったから…っ、だからっ…!!
結婚するのも付き合うのも、本当に私でいいのかな…、って……」

クラピカはそっと、私の額にキスをくれた。

「お前だから…。いや、お前でないとダメなんだ……。不安にさせて悪かった。お前こそ、オレでいいのか?オレはお前が思っている以上に嫉妬深い。」
「…っ!、私も……クラピカじゃなきゃ、やだ」

私の体がクラピカに吸い寄せられる。気が付けば背中にクラピカの力強い腕を感じ、私もクラピカの背中に手を回す。そしてクラピカは、低い声で私の耳元で囁いた。

「不安になったらいつでも言え。オレの正直な気持ちを、飽きる程聞かせてやる。」

***

「――…という幸せな夢を見ました、まる」
「、……私はそんなに酒に弱くないし、酔ってもそんな事を言うわけがない!」

私の眼の前には、顔を赤くしたクラピカ。フイッと顔を逸らしたクラピカを追いかけるように、彼の顔を覗き込んでみる。

「待って待って。私がこんな夢を見るのは、クラピカからの愛の言葉が足りないからだと思うのだよ。」
「………だから?」
「……。…、もういい…………」

『好きって言って?』とは言えず、大きな溜め息だけが口から出た。やっぱりクラピカはクラピカだなぁ…なんて、思ってみたり…
それでもそんなクラピカが好きな私の気持ちは変わらないし……でも“そうゆう言葉”を言ってくれないのは不安で……少し、複雑だ。

そんなことを思ってると、ふと、温もりを感じた。
私の小さな体を、ギュッと力強く包み込んでくれている。
そして、言ったのだ…

「…覚えておけ。お前が私以外の男と、こうゆう行為をすると考えただけで……私はいたく不愉快だ。」


それだけ聞こえてくると、温もりは恥ずかしそうに去って行った。

「…。もっとちゃんと言ってよ……」

だけどこれがクラピカの限界なんだろうなぁ…

言葉とは裏腹に、自然と顔は微笑んでいた。


end...
 

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