色々な文かもしれない

□Garnet
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『我が息子よ』




あの山羊野郎は確かにそう言った…と、アイツは言っていた。
息子?ハン、笑わせんな。
アイツをあんな化け物達に渡しはしない。勿論、化け物にもしない。
アイツは良くて俺の手下かそこらだろ。
多大なる借りはナシにして、だ。


Garnet









「おい、さっきから何考えてんだ」
「え、」

俺の横で、『救世主様』はずっと塞ぎ込んでいた。いつもペラペラと気色悪いくらいに溜め込んだ知識を喋り倒すコイツが、黙っていればその違和感は相当な物だ。
「別に、何でもありませんよ」
「嘘こけ」
「嘘じゃ…、嘘ではありません!」

ほら、嘘だろ。
素が出そうになるのは焦ってるからだ。てかこの俺に嘘をつき通そうなんて、そんなオツムもない癖にな…

「さっき言ってた弟さんか」
「………」
施設から出て来た時、コイツは『弟に会った』と言ってたか。あの時は疲れてるんだろうと思ったが……多分、いや絶対にそれだ。何かを隠してやがる。
「なあ、弟ってお前、お前はあそこで」
「話す気が失せたので良いです」
「………そうか」





そこからは会話が無くなった。
余程触れられたくなかったのだろう、メサイアはぷいと横を向いて眠ってしまったからだ。
おかしな服装は装飾(?)が邪魔らしく、隣で俯いたままゆらゆらと頭だけが揺れている。(コイツ曰く正装だそうだ)
おかげで開けっ放しの車窓から尖んがったカブリモノの先がはみ出して車の外側をゴンゴンいわしている…
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