小説1
□星を一つ 貴方に
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空には満天の星。
ベランダで一人、ティエリアは宇宙に想いをはせた。
昼と違い、星や月が見える夜は少しだけ宇宙を感じられる。
手を伸ばすが当然届く筈もない。
「…風邪を引くぞ」
「俺はガンダムマイスターだ。体調管理は怠らない」
背後から部屋の主…刹那に声を掛けられたが、ティエリアは依然空を見上げたまま。
ティエリアは現在任務の為、経済特区東京にある刹那の住まいに同居している。
経費削減の為とスメラギに言われたが本来の目的はこの二人の歩み寄りを期待してのことだろう。
それに両者は気付いているが任務だと言われれば了承するしかない。二人に拒否権など無いのだ。
「そうか…」
背後から刹那の気配が消えた。
マイスターとして認められないが口煩いロックオンや心配症なアレルヤと違って、干渉してこない刹那との生活に不満はなかった。
だが、ここは地上。
それが唯一の不満だった。
「ティエリア」
呼ばれて振り向くと小さな小瓶を渡された。中には球体に突起がいくつも付いたこれまた小さな色とりどりの物体。
「これは何だ?」
「金平糖…という砂糖菓子だ」