BOOK:TENNIS
□あの子
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「あのね幸村くん」
先月の席替えで、僕の前の席は女の子になった
彼女は度々振り返って微笑む
うざったいとか迷惑だとかじゃなくて、それはもう当たり前の風景で楽しみでもあった
「どうしたんだい?」
尋ねると彼女は眉間にしわを寄せる
ふふ、だめだよ
皺なんか寄せちゃもったいない
いつもみたいに笑ってくれ
「昨日屋上で寝てたら、仁王くんに輪ゴム当てられた」
「…ぷっ」
彼女の深刻そうな顔から発された言葉は予想外のもので、思わず吹き出してしまった
「笑い事じゃないよ。頭に3発も当てられたんだから!これ以上バカになったら立海にいられなくなっちゃう」
頭を叩かれると馬鹿になるっていう迷信を信じてるのかな
赤也みたいだ
相変わらず面白い子だなぁ
「大丈夫。勉強なら僕が教えてあげる」
「ふふ、やーだ。幸村くんのスパルタ授業なんて死んでもごめんだよー」
微笑みがたまらなく愛らしい彼女はたまに毒舌だ
[そこときめくところです]