H×H

□散歩の一歩
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平日はだいたい夜の8時18分ぐらいに。
土日は朝の8時40分とこれまた夜の8時18分。





君はここを通る。












―散歩の一歩





只今土曜日の朝8時40分前。
玄関にある鏡で最後のチェックをしてドアを開けて道路へと出た。



「あっキルアさん、おはようございます!」
「おはよう、ゴン」




あぁああーっ!
スゲェ可愛いっ!!そのクリクリした目とか柔らかそうなホッペタとかっetc…!



「今日も朝のお散歩ですか?」
「うん、まぁ…」
「毎日散歩なんてキルアさんは散歩が好きですね」
「いや…ただ最近身体がナマっちゃってさ」



つーのは嘘。
土日ぐらいは昼時まで寝てる人なんですよ、オレは。



「ワン!ワン!」
「今日も朝から元気だなぁ、コン太は」


ゴンが持つリードの先にはコロコロとした犬がいる。ゴンはこの犬といつも一緒にオレの家の前を通る。所謂お散歩コースだ。オレは慣れた手つきでコン太の頭を撫でてやった。






ゴンと出会ったのは一ヶ月ぐらい前。鞄に付いていたお守りが落ちたから拾って渡してやったら


『ありがとうございますっ!これミトさんから貰った大切なものだったんですっ!』


あの時の笑顔が頭から離れなくて。


ミトさんって誰?
年上の彼女?


なんてことも考えていた。



それから何日か経った日の朝、オレにしては珍しく早く起きた。カーテンを開けて窓から見えたのはあの時の笑顔。朝日に照らされて楽しそうに犬と散歩している彼だった。


オレのこと覚えているのかわからないけど話してみたいと思った。散歩を始めてみた。



残念ながらオレのことを覚えていなかった(軽くショックだった)が別に気にしない。



君がゴンって名前であること。
犬の名前がコン太で散歩が大好きなこと。
そしてミトさんが彼女ではなく育ての親であることもわかったのだから。
あとはどのようにしてゴンともっと親しい関係になれるかが課題だ。



まっ最終的にはものにするけど…



「そういえばキルアさんってどこの大学行かれてるんですか?」
「あー、M大」
「ぇえM大ッ!?」
「そんな驚かなくても;」
「いや、だってM大ってすごく頭いい大学ですよね?」
「んーまあ普通の大学より頭いい奴が多いだけで他はなんも変わんないよ。それに結構学食上手いんだぜ」
「そうなんですか。…キルアさんM大なんだ」
「ん?」
「あっ、いえ、なんでもないです!///」
「?そう。んで、ゴンは?」
「えっ?」
「ゴンはもう行きたい大学とか決まってんの?」

「いや、まだ特には…」
「だよなー。まだ高2だもんな」
「でもオレ…」
「ん?」





「行けるなら、キルアさんと一緒の大学に行きたいな」





「…」
「…」
「…」
「…っ!あっべ、別に変な意味でじゃなくてっ…///」
「あ、あぁ。でもなんでいきなり…」
「いやっ!なんかキルアさんの話聞いてたらM大もいいかなぁーなんてっ///」
「…」
「思ったり、なんか…しちゃったりして…///」


これは結構脈あり…
と自負していいのか…


「そ、そっか…///」
「「…///」」


コン太が急に黙りだしたオレ達を不思議そうに見上げる。


「「あのっ…」」
「あっキルアさんから、どうぞ///」
「ゴンから言えよ」
「…じゃお言葉に甘えて///」
「おう///」
「えっと、オレM大行きたいって言いましたけど、そこまで頭良くなくて…だから」



だから?



「勉強、とか教えてもらいたいな…なんて////」




勉強、とか教えて…
勉強、とか…
とか…
とかぁああ!?
とかってなんだっ!?
勉強以外も教えてもらいたいな…的なことなのかぁああ!?てかなんの教科だ?数学?古典?英語…?まさか保健っ!?いやそれはさすがにまずいだろ!いやでも保健といっても水俣病とかイタイイタイ病のところか!?それとも…男女の身体の仕組みのところなのかっ!?そうなのかゴンっ!?だったらオレも全知識を駆使してゴンに応えなければっ!!



「あの、キルアさん?」
「ぁっ…悪い悪い。ちょっと自分の世界に行ってた」
「そうですか…(自分の世界ってどこだろ?)」
「いいぜ。オレが教えてやるよ」
「ホントですか!?ありがとうございますっ!」
「いつ暇なの?」
「オレは塾とかに行ってないんで学校終わればほとんど暇です」
「あーオレは基本月、木、金がダメだな」
「じゃ火、水お願いしてもいいですか?」
「あ?土日は?」
「土日は…やっぱ空けといた方が良くないですか?」
「なんで?」
「なんでって…キルアさん大学生ですし、遊びに行ったりのんびりしたいとかあるかなぁーと…」
「んー別にねぇから火水土日でいいよ」



やっぱ一日でも
多くゴンと居たいし



「…なに?」


さっきからゴンがまじまじとオレを見る。



なんか…ハズいな;///


「…彼女さんに怒られません?」
「ハァ!?」
「えっだ、だから彼女さん…」
「誰の!?」
「?キルアさんの、に決まってるじゃないですか」



何言ってるんですかキルアさんって顔しないでもらいたい…
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