Coo.

□ライフタイム
1ページ/2ページ

さて今日の夕食。
何にするか考える。食べる人。全体のバランス。力量。予算、季節、旬のもの、手に入る材料。材料は、多くても足りなくてもいけない。もう一度冷蔵庫の中を確認して、あるものは買う物リストから外す。ニンジンと、この前箱で買ったジャガイモがあるな。
あってもいいかも知れない、というものも一応書く。猫のことはスーパーに行ってから考えよう。そろそろコメを魔の手から救わないと何かありそうだし。
「行くか」
「うぁいっ」
コメの目の前から弾かれたように飛び上がったアキラはもう玄関でコンバースに手をかけている。水曜は定休日だから大体いつもアキラが一緒だ。唐突に解放されたコメはちょっと呆然として、それから顔をこすり始めた。俺は適当に一枚羽織り、鍵を掴んで後を追いかける。
「そんなカッコで寒くないの」
「大丈夫」
ペラペラのTシャツにパーカのアキラ。

「やっぱ寒い」
案の定、生鮮食品売り場であっけなく撤回。
「さむいさむい」
「だから言わんこっちゃない」
「あ、タコがいる」
フードを被り腕組みして、落ち着きなく鮮魚コーナーをフラフラする知り合いの不審者は水槽のタコに駆け寄って行く。目の前のマダムの視線が刺さりそうに温かい。いつものことだが。
とりあえず猫さん方のメニューはカルパッチョ風猫まんまにしよう。そして早く次へ行こう。
「マヨネーズ買うの?」
「いーえ」
「わーケチャップがこんなにある」
「味噌見てるから。落とすなよ」
味噌はいつものが決まっている。
が、ちょっと待ていつものより高い味噌がちょっと安い。どうしよう。試したい気もするが多分こっちの味噌の方が普段食ってるのより旨いから一回買うと元に戻れない可能性がいやしかし果たしてアキラ(とかシューヘイ)に味の違いが分かるかどうか、
「トモくんターメリックって何?」
「ん? ウコンだよ」
「こっちは?」
「コショウ。挽く前の」
「へー」
やっぱいつものにしよう。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ