綴
□追憶
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この気持ちもいつの日か、遠い未来に…永い時間が全て忘れさせてくれるのだろうか
けれど…
心の片隅で、先生との想い出を忘れたくない、もうひとりの私がもがいてる
こんな時、誰に相談したらいいの?
誰に…私はどこに行けばいいのだろう
…何処にも行くところがないなんて…
ただ茫然と彷徨い歩く
まるで壊れたカラクリ人形の様に
優しい主の手を失った人形は壊れてうごけなくなるまで歩き続ける
二度とかえらない主の優しい手の思い出だけを胸にして
石畳が続く坂道の途中で
急に冷たい雨に打たれ、身動きが取れない
…もう前に進めない
「先生…寒いよ…もう一度抱きしめて…温めて」
天から落ちる冷たい矢を全身で受けながら、初めて声をあげて独り泣いた