銀誕2008

□其の四
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眠っていても、意識のどこか遠いところで捉えてしまう、微かな音



…雨は 雨そのものは、別に嫌いじゃあねェーんだが

…ついてまわる思い出が、いちいち、辛気くさい


しきりに屋根を叩いていた雨粒が、微かに唄うように降りてくるようになった


―――嫌いじゃねぇんだが…雨は、よ…


独り寝の夜に、この雨の音は、ことさら身に染みる


記憶の闇に置いてきた忘れてしまいたい孤独を、まざまざと浮かび上がらせる


―――それに雨垂れの音は

アイツと一緒に肌を重ねて紡ぎ奏でる―――心の温度を確かめ合う時の音色に何処か似ていて―――


あの白く滑らかな肌の温もりと、愁いのある微笑を思い出してしまうと酷く辛いので、無理やり目をつむった



ちっ… 目がさえて眠れねェや


何度も寝返りをうって再び夢の世界へ戻ろうとしたが、なかなか扉が見つからない


暫く悶々とした時間の中でもがいてたが、観念して横になったまま静かに目を閉じていると…


…聞こえてくる…


…囁くような雨音に混じって小さく訴える命の声…


…アイツだ!
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