銀誕2008

□其の一
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「………さん…」




……深い意識の遠くから、微かに…誰かが呼んでる声がする


「……銀さん…」


…なんだよ…まだ… もう少し寝ていてーんだ ……このまま


「……起きて…」


かかる声に、意識を揺さぶられるが未だ未だ夢の中に寝転んでいたい


いーからよう 一緒に寝てようぜ オメーは朝、早すぎんだよ


煩い女を黙らせるには、その舌甘い果の実のような唇を塞げばいい


ゆるりとしたまどろみの中で、手を伸ばす
そのまま空を探り、アイツの肩を抱いて引き寄せた


再び、俺は うす紅いの甘い実をついばむ …ついば…む …あれ? 甘たるい香りがしない



…ゆっくりと目を開いて確かめて、 見た


『…甘ーいサクランボは……アレ?なんだ、チェリーか なーんか青臭いと思ったら、チェリーか』


そこには、ドジで可愛い眼鏡っ娘ではなく…マジで可哀想な駄眼鏡くんの不機嫌な面があった


「朝からホンット、ムカつくわ チェリー、チェリー言うなやっ この寝惚け侍がっ」



寝具の脇にキチンと正座し、目覚めの声をかけていたのは新八だった



女と思って抱き寄せた肩は、未だ何も知らない青い少年のものだった
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