Wシリーズ

□プール トゥ ジュール
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夢を見ることに疲れ…そういう時代があった事すらも忘却の彼方


精神的にも老いて渇いていくだけのつまらない日々



あの日、お前から告げられなければ…今という時間は生まれていない


心を見透かすほどの、真摯な瞳


もし、俺がくじけそうになったら…道を見失いそうになったら…お前が、その笑顔で照らしてくれ


俺にとってお前は、暗い夜道を導く明るい光




いつも泣かせてばかりで…冷たくあしらった時も…それでも、心は離れる事なく寄り添ってくれていた



花や生き物に寿命があるように、永遠と思われる星達にも、もちろん寿命はある


好きという感情にも、いつかは、今より輝きが鈍る時も来るだろう



なあ…もしも、二人が冷めてやるせない気持ちになった時が来たら、また星空を見上げてみないか


――夜空に輝くオリオンの三つ星


この星達の瞬きが有る限り、俺達に囁いてくれるだろう

きっと、今の俺達の気持ちを思い出させてくれるだろう




だから、ずっと輝いていてくれ


いつまでも側にいて欲しい


二人で歩いていこう


どこまでも繋いで行こう


例え行く手が、辛い悲しい現実で立ち塞がってしまっても、もう引き離す事なんかできない


奇跡なんて信じねぇが


心底、本気で願う想いは、きっと叶うだろう


叶えられない事を夢みるほど、浅はかではないつもりさ




夜のしじまに、星が瞬き
静かにオルゴールの音色を奏でる


いつか必ず…そう遠くはない日に


月給三倍のヤツを買ってやるよ


冬のダイヤモンド

それまでは、夜空の宝石達の輝きで我慢して待ってろ


俺にとっては、お前の笑顔が永遠の輝き


…なんて…そんな事、こっ恥ずかしくって…口が割けても言えねぇーが


お前に贈る、最初のプレゼント


何億光年離れた星の光が、俺に魔法をかけた


馬車がカボチャに戻る前に、伝えよう


オリオンの三つ星に、願いを架けて


『愛』という言葉を口には出さないけど、お前には伝わるだろう


そんな俺の事好きになった、お前だから




『…あやめ』




振り向いた笑顔は、きっと、俺の胸に輝く一等星
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