Wシリーズ
□プール トゥ ジュール
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帰りの駐車場で見上げる、こぼれ落ちそうな満天の星
南西に輝く、冬の星座
空気が澄んでる寒い冬は、一年を通して一番良く星座が綺麗に見える季節らしい
都会の夜空でも見える代表的な星座と言えば、やはりオリオン座だろうか
「…え〜と 南西の空に…三つ並んでいる星…あ、あった!ねぇ、先生!あったよ、オリオン座!」
白い息を吐いて、瞳を輝かせながら探す姿
「…え〜と この三つ星の上にある一等星が…べ…なんだっけ…」
『ベテルギウス』
「そうそう、それそれ!ベテルギウス!その下にあるシリウス、プロなんとか、パルックス、カペラ、アンドロ…、リゲル…で、冬のダイヤモンド!」
『オイオイ、なんか途中誤魔化してね?ったく、適当だな…お星さんが、困っちまうよ それじゃ
…えーとだな…ベテルギウスを真ん中にして、時計回りに星達を結ぶ…
…シリウス、プロキシオン、ポルックス、カペラ、アルデバラン、リゲル…で、冬のダイヤモンド』
「わぁ…すごーい…居眠りしてたのに…流石は先生、だね!」
…居眠りしてたの、お前の方だろ ったく
「…綺麗だね…キラキラしてて、本当に宝石みたい なんか、…眩しいね」
屈託のない顔で、本当に嬉しそうに笑う
俺には、その笑顔の方が眩しいよ
「あ、流れ星!お願いしなくちゃ!」
次から次へと…本当に忙しいヤツだな
「願い事、叶うかなあ?」
去年ふざけて進路の第一希望に書いたヤツ、あれまだ覚えているか?
未だ、お前がそのつもりだったら…願い事、叶えてやるよ
いつ渡そうかと、上衣の内ポケットに常に入れてる小さな箱
プラチナに、本当に小さな石が三つ並んでいるリング
しがない教師の安月給だから、そんな高価な物は贈れないけどな
ただ、お前の喜ぶ顔が見たくて