Wシリーズ

□フェール・ネージュ
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『…オイ、どうしたんだよ どっか悪りィのかァ? なんなんだよっ
…調子狂うぜ 全くよォ』



いつもと違う私の反応を、やはり貴方は気付いてしまう


迷惑そうな表情をして


私が好きな、銀色のその髪を掻きながら歩いているのでしょう?


ゆっくりと私の背中に近づいてくるブーツの音が、物語ってるわ

『面倒くさい女』だなって







『 …悪かったよ 』



  …謝らないで


やっぱり優しくしないで…


私、期待してしまうから


だから、振り向かないわ








『…冷てェーな』



不意に後ろから抱きすくめられて、体が熱くなる



貴方から伝わる温もりは、凍えた心も一瞬で溶かしてしまう



   ズルイ人…ね



こんな事をされると、もう私に勝ち目はないじゃない




『……何か言えよ……』

「…銀サンなんか…なんか… 好き…よ 大好き…」



…貴方は…応えてはくれないけど…


伝わってきたわ


肩を抱いているその腕に、ほんの少しだけ…強く…力が込もった



銀さん…私、期待してしまうわよ?それでも、貴方はいいのかしら?



…ねえ お願いよ


まだ、このままでいて


このまま背中から抱き締めていて


『…フン 今夜は格別に冷え込むからな 人肌が恋しくならァ 勘違いするなよ、今だけ…だ』




綿のような雪が降る夜、まるで降りかかる全てのものから私を守るように、包むように抱き締める貴方



つれない言葉とはウラハラな、貴方


その大きな温かい安らぎの中、どんな事があっても…例え全てを失うとしても…

この愛しい人を…私も『守りたい』と思った




天から優しい気持ちが――降りてくる



やがてそれは白い雪に形を変え―――



そして、二人に降りそそぐ


寒い夜に、雪が作りだすシチュエーション



冷たい貴方からの熱い抱擁


神様の気まぐれ?ううん、銀さんが気まぐれなだけね

それでも、嬉しいの


こんな素敵なハプニング、毎回欲しいと願ってしまうのは…欲張りかしら?



いつも、貴方を想ってドキドキしていたいの



ねえ、わかって 銀さん
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