□期間無限のサービスで
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案の定、眼鏡をかけた妖精は余りの寒さに震え、立ちすくんでいた。

『おいっ こんな季節にそんな薄着だから…』


奴はガタガタと体を震わせながら痩せ我慢してる。


「…あ、あらあらあら…サササービスビスと思って、ミミミミニスカにしたんだけどどどどどどー
ぎぎぎ銀サンは、おおお気にめさめさ召さなかった、かかかかかかしらー?」


『ガタガタ震えながら、喋んなっ 何言ってるか、分かんねェーよっ
ああ?ミニスカァー?…いや、むしろ好きな方だけどよォ… ってかこのままじゃ風邪引くぞ!』


…まあ、俺もかなり寒がりの方だが、しかたあんめぇ
上着を脱いで、奴の肩に掛けてやった。


「あ…ありがとう」


…ん?ふと触れた奴の手が、氷の様に冷たい


『ほら、行くぞ!』


かじかんだ手を繋ぎ歩き出す。びっくりしてる、奴の顔がみるみる紅くなっていく。


…寒椿みてぇだな、オイ


「…銀サン…あ、あの…」

俺は、振り向きざま奴に応える。


『今夜は特別だ まあ、
【期間限定決算そうざらえ歳末特別助けあい出血大サービス】ってとこだな』


はじめは、キョトンとして聞いていた奴。次第に余裕を取り戻してきやがった。

「ふふ 無駄に長いわね」

…あんだと、こら 手ェ離すぞっ …でも まあ、いっか。


こんなやりとりをしているが、傍目にはデートしている恋人同士にしか見えないんだろうなと俺は思った。

…まあ まんざら、それも悪くはねェ…な。寒い冬が人肌の温もりを恋しくさせるのか。


「銀サン、ありがとう 素敵なクリスマスプレゼント、ね!」


…おっ なかなか可愛い表情してくれるんじゃないのォ?
…あれれ? 俺ァー風邪ェひいちまったかな…なんだか、目がクラクラすらァ やたら顔が熱っぽいし。
やべ、早く帰って寝よう。



クリスマス商戦に賑わう繁華街を足早にぬけ、家路に急ぐ二人。

銀時も、とうとう かかってしまったのだろうか。お医者様にも治せない病に。

当の本人は、未だ知るよしもないが。



聖なる夜に気付いた想いの行方は、誰にもわからない。
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