□花の揺り篭
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「銀さん… お久しぶりね お元気でしたか お仕事は順調ですか?」


突然の…長年の想い人との再会に少し動揺したが、努めて平然を装った。


『ああ 俺の方は相変わらずさ でも何年ぶりかな お互い子を持つ親になっちまったな
時が経つのは早えーな』


永い時間の流れがそうさせたのか 隣に腰かける貴方は、以前からは想像出来ないくらいに穏やかな表情。


「そうね…でも、銀さんは相変わらず素敵よ えーとその素敵な銀髪でしょ、その素敵な天然パーマ…」



ああ、何を話したら良いか分からなくなってきたわ…片想いしてた時の私に戻ってしまった。
…いいえ 今でも現在進行形ね。


『オイオイ、誉めるとこって髪だけですかっ 俺には天パしかないんですか、コノヤロー』


「フフフ やっぱりいつもの銀さんね」


なんだか、ほっとした。私だけが成長してないんじゃないかと。おいてけぼりじゃなかった。


『…やっと笑ったな、さっちゃん いや、人の嫁さんつかまえて、「さっちゃん」もないか』


あ…私…そうか…結婚したんだっけ。最愛の人とは結婚できなかったんだ。そうか…
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