捧
□幸せは、皆に平等に降りそそげば良い
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時を同じくして、もうひとつの屋根の下では…
『…ぶェくしょん! スゲー さびーなあオイ!
もう目が覚めちゃったじゃねーか』
もう一度派手にクシャミをしながら、この家の主はむくりと体を起こした。
と、襖がすーっと開いてなにやら小さい可愛らしいものが彼に飛び付いてきた。
「 おとしゃん、起っきでしゅか 」
彼は、自分にそっくりな、くるくる巻き毛の天使を抱き上げた。
『 おう! さくら おはよう お前はいつも早いなぁ』
愛娘にむける眼差しは、すっかり父親のそれ。
「 ってか さくらちゃんが早いんじゃなくて、アンタがいつも遅いんですよ 銀さん、おはようございます」
上司にむかってなんですかァ、シンパチ君!それに挨拶の方が先じゃね?逆だよ逆っ
と、彼はいつものように心の中で呟きながら事務所兼リビングのソファーに腰を下ろす。
「さくらぁー親父みたいな駄目天パになるなヨー」
さらに追い討ち…神楽のヤロー ったく…この娘はいくつになっても変わんねぇなーと、ブツブツ…呟く父親。
「だめてんぱー」
未だ舌がまわらないその可愛らしい口から信じられない言葉が…
『オイオイ、うちのさくらちゃんに何て言葉教えてくれんの やめてくんない』
「おとしゃん、まだお」
『 きゃあぁぁ! さぁくらちゃーん! 何て事言うのォ〜 お父さん立ち直れませーん』