イベント集
□果てのない平穏な世界で
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「…釣れますか?」
…来たよ、来たよ…。羨ましいくらいのサラサラヘアーをなびかせた、見知った変人が。
なんか、御呼びでナイのが来ちゃったよっ
「…今の時期は、チカかしらね」
…お、良くわかってんじゃん。コイツ、意外とヤルね?
…まあ、よく考えればさ、気が利くし、眼鏡っ娘だし。
巨乳だし、眼鏡っ娘だし、気が利くし、眼鏡っ娘だし…
あれ?俺って、眼鏡っ娘フェチだったっけ?
*******
何処までも続く、果てのない様な海岸線。
なんとはなしに、無言で…二人して波打ち際を歩く。
いつも、手土産に甘味くれるからさ…たまにゃあ俺もなんかお礼的なモンでもと…
まあ、金なんかねぇから…綺麗な貝殻の一つでも拾ってやろうとしたけど。
こんな時に限って、良いのが見付からなくて…
お前にかける、気が利いた言葉も拾えなくて…
仕方がないから、砂の上に普段呼ばない『名前』を書いてみた。ブーツのカカトで。
まあ、ちょっとした気まぐれ…だな。
「…銀さん、何してるの?」
『あん、いや…なんでもねぇーよ ちょっとな、砂遊び』
「ふふふ、やあね 子供みたい」
『…るせー』
……ザ……ザー…ン……
コイツが覗き込む前に、砂に書いた三文字が波にさらわれた…
もし。もしも、見られたら…進展するキッカケになるかと思ったけど…な
…進展って…なんの?…あれ…俺って、そうなの?…俺って…コイツの事…
突然に、拍子抜けしちまって…なんか、急にめんどくさくなっちまって…
だんだん、どうでもよくなってきた。
だから、まだ暫く今のままでいいかな…なんて思ったりしてさ。
まあ、機会は何時でも転がってるさ。アイツの気持ちが、変わんなきゃな。
空が青い。海も青い。――風さえも青い。
頬を撫でる風が少しばっかり冷てぇが…春の兆しはそう遠くない。
本日も晴天なり。
今年の始めも良い天気、だ。