□放課後の楽園
1ページ/3ページ

―今の私にとって、夏休みを迎える心境は 憂鬱 以外の何ものでもない――

とうとう明日から長い休みに入ってしまう

その前にどうしても…



『オイオイ、勘弁してくれよォ〜 猿飛よォォ お前、ホンットに おっちょこちょいダナ〜 まったく、何忘れたんだよ オラ、早く探して帰れよ 俺ァこれから、当直室でナースシリーズの新作見るってとこなのによォ』


西日が射す国語資料室

下校する生徒達を窓から見下ろしてる私

気だるそうにして、白衣のポケットに手を突っ込んだまま、入り口の戸に寄りかかっている先生

――今ここには、私達二人しかいない――――――

「ねぇ先生、外 見て!すごく綺麗な夕陽 こんなに大きくて美しいオレンジ色の、ひさびさに見たわ」

『あん?……おう…ホントな すげェ〜 デケー 夕陽だな 何かで見たけど、さながら地上の楽園っての?そんな感じだな』


隣に来て、夕焼け空を眺めている先生

その憂いをおびた横顔を見つめていたら、思わず白衣ごしの左腕に抱きついてしまった
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ