□追憶
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初めての恋じゃない


初めての失恋でもない


…でも…こんなに苦しくてこんなに辛く悲しい思いは初めて…



先生を好きになりすぎた



先生の手の温もり


もう、あの優しさに触れてしまったら…



忘れる事なんて―――…





泣きながら棄てようとしても一緒に撮った写真も無い

確かな未来ある約束すら…カタチも何も無い



あるのは
一握りの思い出だけ―――



私の記憶の中の先生…

優しい唇を持っている

見つめる穏やかな瞳

温かく包む大きな手



でも、もう あの腕の中で守られる事も、ない―――



あの、優しい温もりはもうかえらない



愛しい時間は、かえらない





…あの時 海に行こうと言ったのは、私…


あの日がなければ、こんなにも苦しまなかったの?


穏やかで楽しい日々がずっとずっと、続いたの?


こんな想いをするならば…


二人で過ごしたあの時間は意味のあるものだったのだろうか



…哀しく辛い痛みだけが残る


それは、やがて苦い雫を生み落とす



後から、あとからとどまる事をしらない



先生…貴方は、本当は私がこんなにも泣き虫なの、知らないでしょう?



幼い頃から、人知れず声をたてずに泣くことを覚えてしまった



いつからだろう…
感情を抑える様になってしまったのは…


出来ることなら、泣きながら先生の元へ走っていき、すがって叫びたい



…それすらも、許されない
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