譚
□温もりの記憶
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――何故なの…何故、貴方は私を助けてくれたの
なんでなの…私を…見知らぬ私を…身体を張ってまで…なんで…
命がけで…私…私なんかを…貴方、バカじゃないの
……命は大切にするものよ
『…アイツらのお陰で助かったな…どこも怪我ねェーか、さっちゃん』
…私…この笑顔、知ってる…?…知ってる…かも……
「 え、ええ… 」
『 …そうか 良かったな もう、無茶すんじゃねーぞ…いや、俺のせいだな…悪かったな… 』
……溜め息……そうだわ…私、いつもひとりで突っ走っちゃって…それで…好きな人に溜め息吐かれちゃうのよ…
……え?…好き……?
……やっぱり、私…知ってるわ…この寂しそうな横顔……
苦しい…なんで、こんなに……苦しいの……
「あっ あのっ…あのっ」
どうしてなの…なんだか胸が痛くて…言葉がでなくて
――去ってゆく広い背中が…哀しそうだわ……